三角関数の公式の導出

  • 2018/09/06 09:00

参考文献 1 では, 高木貞治氏の書いた解析概論の緒言として示されている三角関数の古典的な導入法の問題点と, それに対する合理的な導入, 定義に関する記述があり, 興味深かったので読んでいたのだが, ふと高校数学 Ⅲ の「普通な」加法定理や積和, 和積の公式, 導関数の導出などが頭から抜けていたので, 復習がてら書くことにした. 一応, このエントリで言う三角関数 cosθ,sinθ\cos\theta,\sin\theta の定義は高校数学の範囲で言われる定義と同様であり, 次のとおりである.

高校数学における cosθ,sinθ\cos\theta, \sin\theta

直行座標平面上の原点 O(0,0)O(0,0) を中心とする半径 11 の円 CCx0,y0x\geq 0,y\geq 0 の部分を C+C_{+} としたとき, 弧度法によると, 点 A(1,0)A(1,0), C+C_{+} 上の点 P(x,y)P(x,y) を角 AOPA O Pθ (0<θπ2)\theta\ (0\lt\theta\leq\frac{\pi}{2}) となるようにとれば, 孤 APA P の長さは 角 AOPA O P そのもの, すなわち θ\theta である. このとき x=cosθ,y=sinθx=\cos\theta,y=\sin\theta である.

よくよく考えてみれば, この定義では, 孤 APA P の長さおよび実数 0<θπ20\lt\theta\leq\frac{\pi}{2} に対し孤 APA P の長さが θ\theta となる C+C_{+} 上の点 PP が存在することについて, 特に説明しておらず, 定義としては不十分な点があることが考えられる. 参考文献 1 にはこの問題に対する考察が綴られており, 読みやすい文体で書かれているので興味があれば読んでみることを勧める. 本エントリはそのような意味で, 特に面白みもなくただ単に高校数学 Ⅲ までの三角関数の内容を復習しているだけのものとなっているので, その点は悪しからず.


Haskell で D-Bus から systemd unit を制御する

D-Bus とはメッセージバスシステムであり, アプリケーション間で互いにやりとりを行うためのプロセス間通信実装の 1 つである. システムデーモン(新しいハードウェアデバイスの追加やプリンタキューの変更などのイベント等)と, ユーザー単位のログインセッションデーモン(ユーザーアプリケーション間の一般的なIPC)を提供する1.

現代的な Linux カーネルの init プロセスにて起動される systemd デーモンおよびその補助デーモンは, D-Bus にいくつかの API を公開している. 私の観測範囲内において, C や Python, Go 等でこれらを利用する例はそこそこ見たことがあるのだが, Haskell での取り組みは一切見たことがなかったので, 少々これらで遊んで見た日記として本エントリに記す.


AWS EC2 の各種環境を自動構築して distcc による分散コンパイルを実行する

クラウド上でなにか作れというような大学の課題で, 入力パラメータに応じて AWS EC2 インスタンス及びネットワーク周辺と distcc の環境構築を実行して, その上で分散コンパイルをして S3 へアップロードできれば, そこそこクラウドでやった意味があるといえるのかななどと思いつき, 軽い気持ちで作ってみた記録.


AWS SNS + S3 でバケット内の状態を即座に EC2 に反映するまで

ウェブアプリケーションが EC2 上で動作していて, そのコンテンツ内容を S3 バケットによって管理しているシチュエーションにおいて, S3 バケットの状態を即座にそのウェブアプリケーションに反映させたいという事例はよくあると思う(ステージング云々は, 一旦置いておくとして). 本エントリは, AWS SNS による HTTP リクエストをトリガーに, S3 バケットの状態を EC2 上のコンテンツへ即座に反映するための構造と簡単な実装について取り上げる.


ベイズの定理

ベイズの定理の導出から, モンティ・ホール問題への応用まで.

ベイズの定理の導出

事象 AA が発生する確率を「P(A)=AP(A) = A が発生する確率 ÷\div すべての事象の数」と書くとき, ベイズの定理は

ベイズの定理

事象 BB のもとで事象 AA が発生する確率 P(AB)=P(BA)P(A)P(B) (P(B)>0)P(A\mid B)=\dfrac{P(B\mid A)P(A)}{P(B)}\ (P(B)\gt 0)

と定義される. 以下ベイズの定理を導出する. 例として, 起こり得る全ての事象の数を 200200, 事象 AA, 事象 BB(以下単に AA, BB と書く)が発生した回数をそれぞれ 60, 4060,\ 40 とし, AA および BB が発生した確率を 1010 とする. 簡単のために, この事象関係を表すベン図を次に示す1.

ある事象を表したベン図