ヤコビアン

以前のエントリ, ガウス積分の公式とその証明で, 暗に極座標での微小面積が rdrdθrdrd\theta であるとして書いていたので, その内容についても一応書いておこうというのと, 筆者自身の学習/再整理も兼ねて, ヤコビアンに関して書くこととした.

極座標の微小面積

直交座標から極座標へ移行する際に, その微小面積はどうなるかについて考察する.

立方体とその断面

上図1は, 1×1×11\times 1\times 1 の立方体があって, その断面をそれぞれ極座標と直交座標で示しているだけであるが, この断面図のマスの広がり方を見るだけで, 少なくとも極座標における微小面積が drdθdrd\theta とはならないことに納得できる. 単に drdθdrd\theta としてしまうと, rr が大きくなればなるほど微小面積も伸びて大きくなっていってしまうだろうという想像がつく.


ガウス積分の公式とその証明

当ブログ内でガウス積分(オイラー=ポアソン積分)の公式を用いる際に self-contained でリファレンスを張るためと, 個人的な学習の記録として, 本エントリにてガウス積分の公式とその証明について書く1.. 筆者自身にとっての分かりやすさを優先しているため, 若干冗長的な記述があるかもしれない点に注意.

ガウス積分の公式

xRx\in\mathbb{R} のとき ex2dx=π\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}dx=\sqrt{\pi}

ベイズの定理

ベイズの定理の導出から, モンティ・ホール問題への応用まで.

ベイズの定理の導出

事象 AA が発生する確率を「P(A)=AP(A) = A が発生する確率 ÷\div すべての事象の数」と書くとき, ベイズの定理は

ベイズの定理

事象 BB のもとで事象 AA が発生する確率 P(AB)=P(BA)P(A)P(B) (P(B)>0)P(A\mid B)=\dfrac{P(B\mid A)P(A)}{P(B)}\ (P(B)\gt 0)

と定義される. 以下ベイズの定理を導出する. 例として, 起こり得る全ての事象の数を 200200, 事象 AA, 事象 BB(以下単に AA, BB と書く)が発生した回数をそれぞれ 60, 4060,\ 40 とし, AA および BB が発生した確率を 1010 とする. 簡単のために, この事象関係を表すベン図を次に示す1.

ある事象を表したベン図

エルガマル暗号

エルガマル暗号が離散対数問題の応用であることは認知していたものの, きっちりと自分でまとめたことが無かったと思うので, それに関連する諸々の前提についてもふまえて, 一度書くことにした. また, その処理系を実装した. 本エントリでは, 同暗号プロトコルの話の前にまず前提を示し, その後, 実装の観点から見た要点を示す.


De Bruijn Sequence

大学のレポート内で De Bruijn Sequence について書く機会があった. これまた以前と同じく, 折角なのでこちらのブログにも, 若干内容を変えつつ載せておくことにした.

De Bruijn Sequence は, オランダ人の数学者 Nicolaas de Bruijn に因んで命名された系列で, 特定の長さのすべての組み合わせを含む系列である. 次数 nnkk 種類に関する De Bruijn Sequence B(k,n)B(k, n) は, 長さ nn で表現可能なすべての部分列によって構成される. 次元数 22 (すなわちバイナリ) の De Bruijn Sequence は B(2,n)B(2, n) であり, nn ビットの固有な部分系列から成る 2n2^n ビット長の系列である. 例えば, B(2,3)B(2, 3)00011101(2)00011101_{(2)} であり nn に対する有向グラフが下図1のように示される.

De Burijn Sequence B(2,n) の有向グラフ