ベジェ曲線

この記事は, 旧ブログから移植された記事です. よって, その内容として, 旧ブログに依存した文脈が含まれている可能性があります. 予めご了承下さい.

典型的なパラメトリック曲線の一種である, ベジェ曲線(Bézier curve)についての学習メモ. パラメトリック曲線とその一種であるエルミート曲線に関しては, 前回の記事を参照.

ベジェ曲線は, パラメータ t(0t1)t\\ (0 \leq t \leq 1) と複数の制御点 PiP_i から構成されるパラメトリック曲線の一種である1. 始点と終点の線分から成る, 次数 nn のベジェ曲線は n+1n+1 の制御点をもち (=P0,P1,,Pn= P_0, P_1, \cdots, P_n の制御点があるベジェ曲線を n1n-1 次ベジェ曲線という), この内分点を繰り返し取ることによって, 曲線を得ることができる. この始点と終点の線分を, セグメントといい, これが得られる曲線そのものになる2. まず, ここでは 2 次ベジェ曲線を描くとして, そのイメージをつけるために, 図3を用いてその概要を見る. なお, 2 次ベジェ曲線は true type フォントなどで使われている.

2 次ベジェ曲線を描画する途中経過

図で示されている各変数について取り上げる. 上図 P0,P1,P2P_0, P_1, P_2 は平面 R2\mathbb{R}^2 上に取った 3 点である. tt0t1,tR0 \leq t \leq 1, t \in \mathbb{R} であり, P0P_0 から P1P_1, また P1P_1 から P2P_2 の間で 00 から 11 に増加する. このとき, tt に対して変化する P0P_0P1P_1 の線分上の一点を Q0Q_0, P1P_1P2P_2 の線分上の一点を Q1Q_1 とする. 上図では, t=0.25t=0.25 であるから Q0Q_0P0P_0P1P_1 の線分上の 14\displaystyle\dfrac{1}{4} の地点にあることがいえる. このとき Q1Q_1 は, P2P_2 から見て P1P_1P2P_2 の線分上の 34\displaystyle\dfrac{3}{4} の地点にあることがいえる. これは, Q0:Q1=t:1tQ_0 : Q_1 = t : 1 - t という対比で表すことができる(つまり, Q0=(1t)P0+tP1,Q1=(1t)P1+tP2Q_0 = (1-t)P_0 + tP_1, Q_1 = (1-t)P_1 + tP_2). そして, Q0Q_0Q1Q_1 の線分上を t:1tt : 1-t の比率となる 1 点をとり, これを BB とする(つまり, B=(1t)Q0+tQ1B=(1-t)Q_0+tQ_1). これが, 2 次ベジェ曲線の 1 点となるのである. tt の増加によって, t:1tt : 1-t の比率が変化していくから, それを繰り返し取ることで放物線(曲線)が得られるのである.4
Q0,Q1Q_0, Q_1BB に代入すると, BB は次の 2 次式となる.

22 次ベジェ曲線

B=(1t)2P0+2t(1t)P1+t2P2B = (1-t)^2 P_0 + 2t(1-t)P_1+t^2 P_2

P0,P1,P2P_0, P_1, P_2 の各係数に着目すると, 結果的に 2 次バーンスタイン基底関数が得られたことがわかる5. 以下に, 2 次ベジェ曲線を描画していく様子を示す6. 「動かす」をクリックすると, 二次ベジェ曲線を描くアニメーションが描画される. 各制御点をドラッグして操作できる. やめるをクリックすると, 描画を隠す.

この放物線の構成法を一般化したものが, ド・カステリョのアルゴリズムである.

ド・カステリョのアルゴリズム

平面 R2\mathbb{R}^2n+1n+1 個の点 P0,P1,,PnP_0, P_1, \cdots, P_n と実数 tRt\in\mathbb{R} に対し Pi0(t)=Pi\displaystyle P^0_i(t) = P_i としたとき,Pir(t)=(1t)Pir1(t)+tPi+1r1(t),(r=1,,n;i=0,1,,nr) P^r_i(t) = (1-t)P^{r-1}_i(t)+ tP^{r-1}_{i+1}(t), (r=1, \cdots, n; i = 0, 1, \cdots, n - r)

ここで, 特にこれを再度書く意味は全くないが, 前回の記事では曲線描画に関して Haskell で書いたので, こちらもなんとなく載せて置く.

-- | A function that generates a coordinate list of quadratic Bezier curves according to 
--
-- the three control points, them density and the range of @t@ (@bt <= t <= et@).
quadraticBezier :: (Float', Float') -> (Float', Float') -> (Float', Float') -> Float' -> Int -> Int -> [(Float, Float)]
quadraticBezier p0 p1 p2 = ((map (bx &&& by).).).linspaceWithDensity
    where
        b20 t = (1 - t)^2
        b21 t = 2 * (1 - t) * t
        b22 t = t^2
        bezier t v1 v2 v3 = b20 t * v1 + b21 t * v2 + b22 t * v3
        bx t = bezier t (fst p0) (fst p1) (fst p2)
        by t = bezier t (snd p0) (snd p1) (snd p2)

quadraticBezier (-1.0, -1.66) (1.10, -1.88) (0.04, 0.86) 0.001 0 1 とし, 前回の記事のように GLUT を使って出力すると, 次のような曲線が得られる.

![2 次バーンスタイン基底関数によるベジェ曲線の描画](./bezier1.png “2 次バーンスタイン基底関数によるベジェ曲線の描画){ width=400px }

また, 3 次ベジェ曲線は, 冒頭で述べた通り, 次数 nn に対して +1+1 した制御点を持つので, 44 つの制御点を持つ7.

3 次ベジェ曲線を描画する途中経過

考え方は 2 次ベジェ曲線のときと同様で, 最終的に 3 次ベジェ曲線における BB は次の 3 次式となる.

33 次ベジェ曲線

B=(1t)3P0+3(1t)2P1+3(1t)t2P2+t3P3B = (1-t)^3 P_0 + 3(1-t)^2 P_1 + 3(1-t)t^2 P_2 + t^3 P_3

3 次ベジェ曲線は, アドビ社のポストスクリプトフォントや画像編集ソフトなどで使用されている.

-- | A function that generates a coordinate list of cubic bezier curves according to 
--
-- the four control points, them density and the range of @t@ (@bt <= t <= et@).
cubicBezier :: (Float', Float') -> (Float', Float') -> (Float', Float') -> (Float', Float') -> Float' -> Int -> Int -> [(Float', Float')]
cubicBezier p0 p1 p2 p3 = ((map (bx &&& by).).).linspaceWithDensity
    where
        b30 t = (1 - t)^3
        b31 t = 3 * (1 - t)^2 * t
        b32 t = 3 * (1 - t) * t^2
        b33 t = t^3
        bezier t v1 v2 v3 v4 = b30 t * v1 + b31 t * v2 + b32 t * v3 + b33 t * v4
        bx t = bezier t (fst p0) (fst p1) (fst p2) (fst p3)
        by t = bezier t (snd p0) (snd p1) (snd p2) (snd p3)

同様にcubicBezier (1, 0) (1, 1) (-1, 1) (-1, 0) 0.001 0 1とすると, 次のような曲線が得られる.

3 次バーンスタイン基底関数によるベジェ曲線の描画

  1. ベジェ曲線はフランスの自動車メーカーシトロエン社のド・カステリョ (de Casteljau) とルノー社のベジェ (Bézier) によって独立に考案されたものの, 企業秘密として 1960 年代の後半になるまで公表されなかった. ド・カステリョによる研究はベジェよりも先んじていたが, その論文が公知とならなかったために, これらの理論にはベジェの名前がついているとのこと. 参照: 鳥谷 浩志; 千代倉 弘明 (1991). 3次元CADの基礎と応用. 共立出版. ISBN 9784320025394.↩︎

  2. 用語に関する参照: 曲線・図形の書き方(ベジェ曲線)↩︎

  3. 図は Wikipedia Commmons (パブリックドメイン) から.↩︎

  4. 参考: ド・カステリョのアルゴリズム.↩︎

  5. 2 次バーンスタイン基底関数によるベジェ曲線は, 一様 2 次 B スプライン曲線と全く同じ. ここでいう「一様」とは, パラメータ t({t0,t1,t2,})t(\{t_0, t_1, t_2, \cdots\}) を等間隔にとることをいう.↩︎

  6. このアニメーションは, d3.js を使って実装した.↩︎

  7. 図は Wikipedia Commmons (パブリックドメイン) から.↩︎


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